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![]() 宴での1コマ |
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晴れてるのか、曇っているのか、暑いのか、涼しいのか、何だかはっきりとしない梅雨の季節が大阪にもやってきた。 週間天気予報では向こう1週間全てに傘マークが点滅している。天気の責任にするのは良くないが、天気がはっきりしないと、 何故か頭や身体も調子が狂った感じがする。起きているのか、寝ているのか、よく分からない頭を、調子が良いのか、 悪いのか、何とも言えない身体に乗せて、何となく阪急電車に運んでもらっている。そんな僕は、今にも降り出しそうな空を 淀川の鉄橋の上から眺めながら、仕事が休みな明日くらいはスッキリと晴れて下さいと、念仏を唱えるように本気でそれを 願っている自分に気付いたりする。 1週間のうちでも、仕事がある6日間は自分でも危機を感じる程にダラダラと過ごしてしまっている。 特にこの天気がハッキリとしない季節はそれが顕著にあらわれる。しかし、仕事が休みの日、いわゆるオフの日、 僕の脳みそのスイッチは完全なオンに切り替わる。どこからともなく、全身にパワーがみなぎるのだ。不思議だが本当の話である。 例えば、休みの前の晩なんてウキウキしながら明日の予定などを考えていると遅くまで眠れない事もある。 まるで、修学旅行の前夜のような感覚である。 ある6月の最初の休みの日の出来事である。8時15分の目覚ましで飛び起きて、テレビの電源をオンにした。 NHKの連ドラ「瞳」を見る為に決まっている。「お〜、今日も瞳は熱かったねえ」などと感じながら、1日の始まりを噛み締める。 朝飯は白飯に味噌汁、そして納豆に生卵だ。身体中に栄養分が行き届いている感じがたまらんな。 8時45分、自転車を全速力で漕いで近所のスーパー銭湯に向かう。1分たりとも無駄にしたくない。スーパー銭湯のオープンは9時だ。 ようやく到着した俺は、爽やかに「いらっしゃいませ〜」と声を掛けてくれた姉ちゃんに男らしく入場料を払う。早速、全裸になり、 露天風呂にダッシュや。風呂場での男はフリチンが基本や。タオルを腰に巻いている腰抜けには一生なりたくない。 「おう、おう、ガラガラやないか!」俺は朝の眩い光のスポットライトを全身に受けながら、露天の大きな湯舟で大きなため息をつく。 すると、全身に溜まっていた1週間分の毒がため息と一緒に身体から抜けていった。身体がすっかり温もって、全身の毒が抜け切ったところで、 次は塩サウナや。塩を身体が真っ白になる位に擦り込んで、室内のテレビを見ながら、汗が吹き出すのを待つんや。 「おう、おう、またまた身体から毒が流れ落ちてるで」限界に達したところで、水風呂にダイブや。 前々から思っていたが、銭湯の醍醐味は水風呂なんやで。「おう、身体が引き締まっとるぞ」お次は寝風呂や。 冷えきった身体をゆっくりと横たわりながら温めるんや。身体中がピリピリとした何とも言えぬ感じで毛穴が広がっていくのが快感やな。 十分に温もったところで、再び水風呂にダイブや。さあ次はどれにしようかな。よし、次はマッサージ風呂や。 ハードに噴射している噴射口の部分を身体の気になる部分に当てるんや。痩身効果があると書いてあるぞ。 俺は腹が真っ赤になる位にジェット噴射を腹に当て続ける。ほんで、また水風呂にダイブや。水風呂の中で真っ赤になった 腹を見てると心無しかちょっと痩せた気がする。やっぱり銭湯って最高やな。ちょっと疲れてきたけど、まだ休む訳にはいかない。 次は男の王道であるサウナや。塩サウナみたいな軟弱な感じと違うで。熱くてな、カラッとしてるんや。このサウナの醍醐味が 分かって始めて、本物の男になったと言っても過言ではないやろ。「おい、おい、まだこんなにも汗が出るんか」フラフラしてきたぞ。 でも隣の若造には負けたくはない。ここは男の見せ所や。若造が出て行ったのを見計らって、俺も退散や。そして、水風呂にダイブや。 なんて気持ちが良いんや。このまま一生ここに居れたら最高やなあ。もう全部捨ててもええぞ。そんな事を繰り返しているうちに、 気がつけば露天風呂の横のベンチで気を失っていた。ふと目を覚ますと、もう2時になっていた。まだ帰りたくはない。 俺に帰る所なんてあるのか。そんな事を考えながら、青空の下で歯を磨いていた。銭湯で歯磨き。これも最高や。 いつもより断然綺麗に磨くね。歯茎のマッサージも入念にしとかなな。気がつくと20分も磨いていた。ちょっと歯茎が痛いな。 まあ、たまには刺激を与えとかなあかんから、この位がええんや。そんなこんなで、締めの水風呂を済ませて、 スーパー銭湯を抜けだせたのは3時過ぎやった。6時間も頑張っていたことになる。 僕は頑張った自分へのプレゼントとして、餃子の王将で食事をすることにした。やっぱり疲れた身体にはスタミナが一番だ。 食事中、ふと歯の痛みに気がついた。堅いものを噛む時に痛みが走るのだ。その時は歯の磨き過ぎ程度に思っていたのだが、 晩御飯時には完全に物が噛めなくなっていた。物が食べられないという不安感と極度の疲労の為、その日はなかなか眠れなかった。 僕は今、陽当たりの良い歯医者の大きな窓から、雨があがったばかりの地元の景色をぼんやりと眺めている。 ウィーン、キィーン、ガリガリガリ、シュポッ、ジュルジュルジュルというかなりアバンギャルドなBGMをバックに。 しばらくは歯医者通いが続きそうです。 |
| (写真&文/加藤鶴一) |
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