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数年前のオレ

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吠えろ!ファンダンゴ!!
#113 床屋にて



小高い丘の中腹にある公園のベンチに座って、タバコをプカプカやりながら、新年を迎えたばかりの 町を眺めている。何も変わっているはずのない景色なのに、年が変わったというだけの理由だけで、 いつもと違った感じに映るのは何故なんだろうか。人も町も車も雲も、いつもよりゆっくりと動いている。 空気も澄み切っており、町の細々した所から、はるか遠くの山の稜線までハッキリと目に映る。 素晴らしい景色だ。たまに吹き付ける冷たい風さえも心地良く感じる。今、とっても気分が良いのだ。 何故こんなにも気分が良いのか。答は決まっている。散髪屋の帰りだからだ。新年早々、髪を切るなんて、 何て素晴らしくオシャレな行為なんだろう。町中の人々が、髪を切って清々しそうな顔をしている俺を チラチラ横目で見ながら、羨ましそうに通り過ぎていくのが良く分かる。今、俺は確実に世界一清々しい 気分をしている男に違いない。

正月ということもあり、久しぶりに実家に帰った俺に、親父は言った。
「ワシ散髪行くけど、お前も行くか?」 いきなりの挑戦状に一瞬迷ったが、これを断れば男が廃ると思い、挑戦を受けることにした。 俺達は朝食を済まして一服してから、親父の行き着けの散髪屋に向かった。
「ワシの行ってるとこ1500円やし、 15分で終わるから好きや。
お前のとこナンボや?」
「俺のとこは1700円で顔剃り付きやで。」
「それやったら、 ワシのとこの勝ちやな!」
そんな会話をしながら、親父の散髪屋に到着したまでは良かったのだが、突然親父の 顔色が変わった。親父自慢の散髪屋が正月休みだったのである。
「あれ?何でや!あれ?何でや!」 を連発する親父に、「駅前にもあるやん。」と助け舟を出したのだが、「あっこ高いし、丁寧やから嫌いやねんや!」 と言ったきり、駅前の方にスタスタと歩き出すのだった。てっきり駅前の散髪屋に入るのかと思っていたら、 何を血迷ったのか隣のうどん屋に入って「きつねうどん、おくれ!」と間髪入れずに注文しよる。ついさっき、 朝飯を食ったのではないのか。そんな疑問を吹き消す勢いで「お前は何するねん?早よきめろ!」と偉そうに言ので、 俺は仕方なくカレーうどんを注文した。親父は烈火の勢いできつねうどんを平らげ、1000円札をテーブルに ポンと投げ捨て「隣の床屋で待ってるで!」と言ったまま、振り返りもせずにサッサとうどん屋を出て行った。 驚く程の自己中具合に呆気に取られそうになりながらも、行き着けの散髪屋が休みだったという親父の 無念さがそうさせているのかもと思える自分がいた。

カレーうどんを食べ終え、隣の散髪屋のドアを開ける。正月という事もあり5人程が所狭しという感じで 椅子に座って順番を待っていた。その中に一際偉そうに座っている親父がいた。親父は俺を見るなり 「おい!こっちや!ゴメン、息子来たさかいに席一つずれてくれへんか!」と、隣の高校生に命令して、 俺を自分の横に座らそうとする。何故、70才の親父と42才の息子が仲良く隣同士に座って、散髪の 順番を待たなければならないのか。まあ、これも親父の精一杯の好意だと受け取り、大人しく隣に 座らせてもらった。すぐに順番が来てくれれば良いのにと心の中で願っていたのだが、ここは親父曰く 丁寧な店なので、そうもいかない。案の定、親父はイライラしだした。
「姉ちゃん、灰皿ちょうだい!」
「すいません。禁煙なので・・」
「禁煙かいな、珍しいなあ。新聞あるか?」
「あっちに雑誌類ありますんで・・」
「お〜、朝日とスポーツとゴルフと釣り、あと適当に持って来てくれ!」
店員さんは苦笑いしながら、 親父に新聞や本を手渡した。それを一冊づつ読むのなら理解が出来るのだが、興味もなくパラパラと 捲っているだけである。そして見終わると隣の高校生やその隣の爺さんに回していくのだ。 俺にはゴルフ雑誌を手渡しながら「石川遼、ハニカミ王子、知ってるやろ。」と一言だけ呟いた。 そんなこんなで、ようやく親父の順番が来た。
「加藤さん、お待たせしました!」
「ハイ!ワシや!」
「お久しぶりです。」
「何や!覚えてくれてたんか。ワシも名古屋に転勤してるから、正月くらいしか 来れへんのや!」
「今日はどんな感じにしましょ?」
「スポーツマン刈り、ちょっと短かめでええで!」
「了解しました。名古屋も寒いんですか?」
「いや、大阪に比べたらマシな方やと思うで!」
そんな会話の途中、俺の順番になり、親父の隣で気持ち良く髪を切ってもらっていた。 すると隣から
「あんたのとこは丁寧でええけど、ワシ、名古屋に帰るから時間無いんや!
もうこれでええから、 あと髭だけ剃ってや!」
「もうすぐ終わるんですが・・」
「いや時間ない。勘定して!」
と聞こえて来る。 俺はこれ以上、こっちに被害が及ばないようにと願い、寝たふりをした。サッと髭を剃ってもらった親父は、 精算中「あ〜鼻水出るなあ、ティッシュおくれ!」と言って、店員さんからネピアの使いさしの箱ティッシュを 受け取り「ほな、先帰ってるで!」と、俺に聞こえるようなシャウトを残して、散髪屋を出て行った。

今、2本目のタバコに火を付けたところだ。冬の風が短くなってしまった俺の頭を通り過ぎて行く。 まるで脳ミソが洗われているようだ。これはヘアトニックのせいなのか。町はやっぱりゆっくりと 動いている。公園の下の方から親父がゆっくりと歩いて来るのが見えた。自分の頭を撫でながら、 ゆっくりと歩いて来る。右手にはネピアの箱ティッシュを持っている。俺を育ててくれた親父、 いつまでもヤンチャな親父、永久にスポーツ刈りの親父、名古屋になんて行った事のない親父、 いつまでも元気でいて下さい。丘の上まで辿り着いた親父がタバコに火を付けながら俺に言った。 「お前も髭剃ってんなあ!」と。

(写真&文:加藤鶴一)

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