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仕事する俺

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吠えろ!ファンダンゴ!!
#119 思い出の匂い



駅までの長い道のりを一人歩いている。それにしても暑い。空を見上げると、雲一つ浮かんでないのを良い事に、 太陽がジリジリと音を立てながら、僕を睨んでいる。その横をセスナ機が涼しそうな顔をして、ゆっくりと横切った。 泣き止む事の知らないセミは、ギャーギャーギャーギャーと、僕の耳元で騒ぎ立てている。 汗がポタッとアスファルトに落ちた。カバンから手ぬぐいを出して、汗を拭おうとした瞬間、 小学生達がキャーキャー言いながら、僕の横を楽しそうに走り抜けて行った。とうとう夏がやって来たのだ。 子供の頃、あれだけ好きだった夏。近所の原っぱで炎天下の中、一日中野球に没頭していた夏。 毎日がお祭り騒ぎだった夏。あれから何年経ったのだろうか。年月は人を変えてしまうのだ。
今、駅までの長い道のりを歩いている。それにしても暑い。何でこんなに暑いんや。汗はダラダラ流れてきよる。 せっかく風呂入って来たのに、損したやないか。セミも子供もそんなに騒がんでもええやんか。耳障りやねん。 暑いって言うてるんやから、ちょっとは静かにしてくれてもええやんか。それが社会の常識ちゅうもんや。 だからな、最近の夏はあんまり好きやないんや。太陽もな、そんなに張り切らんでええんとちゃうん。 そっちがその気やったら、俺も裸で歩いてええか。。ほんまに。俺な、黒ぶちのメガネかけてな、 おしとやかにしてるけどな、ほんまは裸が好きなんやで。夏はいつの時代も人を狂わせる。

駅までの道のりを半分は歩いただろうか。僕は日陰を探していた。ある工場の軒先に良い感じの日陰があったので、 そこで一服しながら、汗が引くのを待つ事にした。これも何かの縁かと思い、トタンで囲まれた工場の中を 少し覗いてみると、木製の棚がズラッと並んでいて、そこに何らかの品物が置かれている。 クーラーの無い工場内は、何だかジメジメしてカビ臭く、それに焼けたトタンと何とも言えぬ木の香りが合わさって、 絶妙の匂いを醸し出している。どこかで経験した事のある匂いだ。それも凄く懐かしい匂いだ。 これは何の匂いだったのか。僕は必死に記憶を辿りながら、駅までの道のりを再び歩き始めていた。 過去に嗅いだ事のある匂いの一つ一つを思い出してみるが、なかなか思い出せない。 すると目の前に駅が見えた瞬間、ようやく僕はあの匂いが何だったのかを思い出したのだった。

「配達の仕事は初めてでっか?」「初めてですが、車が好きなんで」
「そうでっか。でも辛い仕事でっせ」「はい、頑張ります!」
こんな会話の最中も、僕は所長さんのズボンのチャックが開きっぱなしなのが、 気になって仕方がなかった。そんな過酷な面接を笑わずにやり遂げた僕は、次の日から松坂屋という 百貨店の配達所員としてアルバイトする事が許された。あれは、18才の暑い夏の出来事であった。 俺に与えられたマシンは、ダイハツのハイジェット、クーラー無しの軽トラである。まず配達の仕事は 荷物の積み込みから始まる。
「ほんなら加藤さん、バックで倉庫まで入れてもらえまっか。
荷物積むさかいに。」
「はい!」
俺はええ所を見せようと思い、かなりのスピードでマシンをバックさせたまでは 良かったのだが。ピー、ピー、ピー、ガッシャーン!初っぱなから、派手に当ててしまった。
「わっちゃー!えらいへこみましたなあ!まあ最初は誰でも当てるもんですわ。次から気を付けてくれなはれな。」 所長は顔を歪ませながらも、必死に僕を励ましてくれた。ようやく積み込みが終わり、いざ出発の時が来た。 所長が心配そうに運転席まで走って来て、僕に気合いを入れてくれた。
「加藤さん、さっきの事故の事は忘れて、 気を付けて確実に行ってきなはれや!」僕は所長の熱い瞳をしっかりと見つめながら、深く頷いた。 そして、アクセルを踏み込んだ次の瞬間、ガッシャーン!僕のマシンは配達所の門にめり込んでいた。
「わっちゃー!大丈夫でっか!」これでアルバイトもクビになるかと思いながら、所長の口が開くのを待っていると、 所長は更に顔を歪めて呟いた。
「加藤さん、まだギリギリ大丈夫です。気を引き締めて、行って来なはれ!」
その瞬間、僕はこの温厚な所長の為にも、必死で働く事を心に誓ったのだった。
「すんませ〜ん、松坂屋です、お荷物届けに来ました!印鑑お願いしま〜す!」
百円ライターやボールペンが平気にダッシュボードで爆発するような炎天下の日、 商品がビチョビチョになってお客さんにボロカス言われるような大雨の日、あまりの強風に吹き飛ばされそうな台風の日、 どんな日も僕は必死に走り続けた。所長の「お疲れでしたな。暑かったでっしゃろ。まあ、冷たい麦茶でも飲みなはれ。」という、 その一言を聞く為に。
それから5年間、車はボロボロにしてしまったが、本当にお世話になった。体が小さく、パンチパーマで、 ダボダボした紺色の作業着で意味無くウロウロしていた所長さん。いつもズボンのチャックが開いていて、 エンピツを耳に挟んでいる所長さん。スパゲッティーの事をスパと偉そうに言う所長さん。
今も元気に暮しているのだろうか。

僕が若かった頃、一番思い出に残っている松坂屋の配達所。あそこで色んな人達に出会ったなあ。 天井が高く、トタンで囲まれていて、何だかカビ臭く、木や紙の匂いがプーンとする配達所。 忙しい時期は所狭しと荷物が並び活気があるが、暇な時期はガラーンとして何だか寂しかった。 でも一年中、同じ匂いがしていた。今はもう無くなってしまったが、あの独特の匂いだけは、 今でもハッキリと僕の記憶に残っている。
(文:加藤鶴一)

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