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バンド募集

20th本

ウルトラ募集

イマナカ
大人の社交場、十三東の立ち飲み屋「イマナカ」。
ここには様々な人間模様が転がっている。

※ファンダンゴでは、各日のチケットの電話予約・E-mail予約を
受け付けています。お気軽にお問合せ下さい


吠えろ!ファンダンゴ!!
#132 クシャおじさん



もう9月になろうとしているのに、今日も大阪の気温は35℃を超えている。
いわゆる異常気象だそうだ。そんなまだまだ続く猛暑の中、僕は今だに、 たった片道50円の交通費を浮かす為に、一駅先の駅まで歩いて電車に乗っている。 たったの50円と思われるかも知れないが、「塵も積もれば山となる」という有名なことわざもあるぐらいで、金額的には 月約3000円浮く計算になり、これは僕の1回分から2回分の酒代に値する。 慢性金欠病の僕にとってのこの金額は大したもので、今更これを止める事は出来そうもない。 いやいや、これをお金の話だけで済ましてしまっては、どうもいやらしいので、 他にもメリットがある事を伝えておかなければならない。例えば、最寄りの駅の真ん前に家を構えながらも、 2キロ先の駅まで歩くという男気溢れる大和魂。例えば、健康を気遣って、2キロ先の駅まで 歩いてしまうという大人なこの感じ。例えば、何かアイデアが転がっている可能性を見逃せないので 2キロ先の駅まで歩ききるという仕事に対する情熱。このどれを取っても、しっかりとした一社会人としての 立派な行動じゃないか。
しかし、今年の夏は暑い。2キロ先の駅に辿り着くまでの15分から20分で、 僕の他所行きのTシャツはビショビショになってしまう。せっかく家を出る前に風呂で奇麗にしてきたのに、 これでは風呂に入ったという行為自体が無駄なんじゃないかと考え込んでしまう。まあ、そのお陰もあり、 春から現在にかけて体重が4kg程減ったのでチャラにしておこうか。ただ欠点を言えば、 普通に最寄りの駅から電車に乗るよりも、目的地に到着する時間が30分余計に かかるという事実だけである。

一日は早い。最近では、そのスピードの早さに付いていく事に、必死になっている自分がいる。 ちょっと昔なら、まだ余裕があった気がする。もっと昔なら、時間なんて関係がなかった。 でも今は、時間の大切さを重く考えてしまうようになってしまっている。思い返してみると、 僕はここファンダンゴで20数年働いている事になる。正に、アッという間の出来事だった。
そう言えば、その昔に「お前ら、気をつけろよ!この店は竜宮城みたいなもんやで!」と 言い放っていた先輩がいた。当時はその言葉の意味が分からなかったが、今になってようやく、 その言葉の意味が分かってきたような気がしている。あれは20代も前半の頃、 どこぞの誰かから「面白い国があるので、お前も行ってみるがよい!」と教えられ、 金も仕事も無かった僕は友達からお金を借りて、阪急電車という亀に股がり、 大きな淀川という海のような川を越えて、ファンダンゴという竜宮城に辿り着いた。 そこには見た事のなかった人種が集い、味わった事のなかった酒や料理が並べられ、 想像を絶するようなエネルギーが飛び交っていた。
こんなに楽しい国が存在していた事自体に 衝撃を受けた僕は、それからずっとこの国に居続けている。日本の伝説である浦島太郎の場合、 竜宮城に数日しか滞在していなかったにも関わらず、竜宮城から元の家に辿り着いた時には 何と700年も経っていたという。それだけ楽しい時間は短く感じるという事だ。
僕の場合は、このファンダンゴという竜宮城に20数年も滞在し続けている。
これは浦島太郎の比ではない。 日本の伝説を軽く超えてしまっている訳である。
そりゃあ白髪も次々に出て来るし、 老眼にもなるし、耳も聞こえにくくなるし、
加齢臭も漂ってくるはずだ。 その辺は大目に見てもらいたい。

ある日の午後、アイデアに行き詰まっていた僕は何かを得ようと、十三駅東の激安立ち飲み屋 「イマナカ」で焼酎を一人飲んでいた。焼酎は「れんと」という黒糖焼酎で、 奄美大島の名産品である。
昼間から賑わっている店内のカウンターで物思いに耽っていると、 いつの間にか、背の低い具志堅用高風のパンチパーマの紳士が隣でグラスを傾けていた。
パンチパーマは一人寂しかったのか、3個目のゆで卵の殻を剥きながら
「兄ちゃん、それ焼酎でっか?昼間からキツイやろ!」と話しかけてきて、
そこから会話が始まった。
「おっちゃんのんも焼酎やんか。」
「おっちゃんはええんや。ここでゆで卵食って、焼酎飲んで、
精力つけとんねん。」
「毎日ですか?」
「ほぼ毎日やなあ。」
「兄ちゃんもか?」
「僕は久しぶりですわ。」
「そうやろな。あんまり見いひん顔やもんな。でもな、気いつけや。
酔いに任せて生きとったら、 おっちゃんみたいになるでえ。
時間は大事にうまい事使わなアカン。」
「おっちゃんみたいって、どうなるんですか?」
「説明したら長なるから、また今度な。もう行かなアカンよってに。
ほな、お先!」
パンチパーマは僕が一番聞きたい事を濁して、忙しそうに去って行った。 昼の1時に、ゆで卵3個と焼酎水割り2杯、そしてタバコを2本。滞在時間にして20分弱。 颯爽としたあの感じ。あのパンチパーマは僕に何を伝えたかったのだろうか。 確かに、僕は酔いに任せて生きている節があるし、時間の使い方も無茶苦茶だ。 こんな事をずっと続けてるから、世間のスピードに追いつけないでいるんじゃないのか。 だから、この竜宮城からも抜け出せないでいるのかも知れない。

先日、久しぶりに会う友達とゆっくり飲む機会があった。飲み屋での時間はゆったりと まったりと過ぎて行く。最初はビールのグラスを傾けながら、お互いの近況なんかを ボソボソと報告しあっている。そのうちビールが焼酎に代わり、それがすすんでくると 思い出話に花が咲きだす。思い出話も尽きてきた頃に、日本酒をおちょこでチビチビやる。 もうこの頃になると、お互いの目がボンヤリとしてきて、悩み事や日頃の鬱憤などを さらけ出し、すっかり時間の事など忘れてしまっている。 そして、いよいよ夜明けが近づく頃には、最初のビールに戻って、お互いの容姿を面白おかしく突きあうものだ。
「あんた、最近痩せたんちゃうん?」
「そやなあ、体重4kgぐらい減ったわ。」
「痩せたというか、しおれた感じやん。おじいさんみたいやなあ。ハッハッハッ」
「もう40も半ばやぞ、こんだけ飲んだら、じいさんにもなるわ!」
「待ってや、誰かに似てるなあ。あの人やん!あの人やん!あ思い出した!
『クシャおじさん』や!!ハッハッハッハッー!」
僕は少しだけショックだった。 その時は酔いも回って大げさに言っているだけだと思っていたが、 後日送られてきた友達からの写メールには、居酒屋のカウンターで楽しそうに笑っている『クシャおじさん』が、 確かにハッキリと写っていたのだった。まだ玉手箱も開けていないはずなのに、 いつの間に僕はこんなに年老いた顔になってしまったのだろうか。 今僕は、あの日のパンチパーマの言葉を今だに忘れる事が出来ずに、 足早に通り過ぎようとしている夏の終わりを感じている。
(文:加藤鶴一)

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