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バンド募集

20th本

ウルトラ募集

In FANDANGO
『ファンダンゴから徒歩2分。
お金のない僕たちの味方、うどん・そばの店「拾銭」。』

※ファンダンゴでは、各日のチケットの電話予約・E-mail予約を
受け付けています。お気軽にお問合せ下さい


吠えろ!ファンダンゴ!!
#136 太く長く2011



しこたま飲んだ午前3時の十三。木枯らしに吹かれボロ雑巾のように揺れている 薄っぺらい暖簾をくぐる。勢いよくガラガラとガラス戸を開けて、まず店内を眺める。 「いらっしゃい!」つかさず、いつものオバちゃんの元気な挨拶が店内に鳴り響く。 僕は、急激な温度差に耐えきれなくなって完全に曇ってしまった眼鏡を、 ジャンバーからはみ出したパーカーの裾で奇麗に拭ってから、いつものオバちゃんに ニッコリと微笑み返すのだ。そして、自動販売機に100円玉3枚を投入して、 好みのボタンを押す。チャランチャラン、お釣りの20円と食券が出てくる。 僕はそれを握りしめて、いつもの席に腰を下ろす。 「今日は何します?」「月見ウドン。ネギと天カス、多めでお願いします!」 十三に遊びに来た事のある人はご存知だと思うが、ここはファンダンゴの近所にある 「拾銭」という屋号のうどん屋である。一応カウンター席があるものの、 早い!安い!うまい!をモットーとする、一般的に言うところの立ち食いうどん屋である。 いつからここにあるのかは忘れてしまったが、昔からファンダンゴに 出入りする人間の間では、割と評判のいい店だ。元々ゆっくり飯を食わなければ 気が済まない僕は、形式的には立ち食いスタイルであるのに、 座ってゆっくり食べれるこの感じが好きで、この店を頻繁に利用している。

既に時刻はすっかり午前様である。飲み屋が連立する十三では、こういう朝まで 営業している食べ物屋が重宝がられる。いわゆる、飲んだ後の一杯である。 この場合の一杯とは、ラーメンやうどんの一杯である。この日は午前3時を 過ぎているにも関わらず、忘年会シーズンもあり、「拾銭」は多くの人達で賑わっていた。 「お待たせしました!ネギと天カス大盛りの、月見うどんです!」僕のこの日最後の一杯が 運ばれてきた。この一杯こそが、僕ら飲み助にとっては、明日に繋げる為の大切な 栄養源となるのである。まず、出汁をすする。出汁が口から食道を通り胃まで一気に 駆け抜けて行く。何とも説明しがたいこの感じ。まず、気持ちが温かくなる。次は麺だ。 割り箸で、柔らかいうどん麺を千切れないように優しく上に持ち上げる。 そして、一気に吸い込む。熱い!熱い!でも、この熱さがすっかり酒で冷えきってしまった 喉元を蘇らせてくれるのだ。疲れきった体がだんだん生き返ってくる。その感覚を全身で 受け止めようと必死に気持ちを集中させている時、左隣に座った年配のサラリーマンが 月見うどんを注文した。そしてそれに間髪入れる事なく、右隣にイケイケのヤングマンが 座って、やはり月見うどんを注文した。生卵=スタミナ、なのか。 生卵=優しさ、なのか。両隣の人間が何を思って、月見うどんを注文したのかは 別にどうでもいい事だが、少し気になるものである。少し気になってきたら、 もの凄く気になってくる。これは自然の摂理である。僕自身、彼等に挟まれた状態で 月見うどんを食べている訳なので、彼等に負けないような心持ちで月見うどんを 食べなければならない念にかられてきた。ここは、地元十三の人間として、 平常心を保ちつつ、粋な食い方を見せつけなければならない。

僕の食べ方は決まっている。まず最初に、玉子の上に麺をかぶせる。 これは玉子を充分に温める為である。そして、純粋な出汁と麺を楽しみながら、 丼鉢の半分手前までノーマルな味を楽しむ。そして、丼鉢の半分にきたところで、 いよいよ玉子の上の部分を箸の先で優しく突くのだ。すると、玉子の黄身が ゆっくりと出汁に溶け出してくる。そこに麺をうまく絡めながら、玉子と麺と 出汁が奏でる絶妙なハーモニーを楽しむのだ。ただポイントなのは、 玉子を完全に潰してしまわず、黄身と出汁の混じった部分とストレートな出汁が 残った部分を分けておく事。こうする事によって、2種類の出汁が楽しめる訳だ。 これには少しテクニックが必要だが、練習すればどうにかなる。 そんな風に、色々な味を楽しみつつ、丼鉢の四分の一になったところで、 ようやく玉子をグチャグチャにかき混ぜる。このタイミングでお楽しみの 白身の登場である。もうこの頃になると白身はある程度温まっているので、 その散らばった白身を一カ所に集め、ツルッと勢いよく一気に吸い込むのだ。 熱々の白身が喉元を通り過ぎ、食道を流れて行く。この感覚がたまらない。 最後は、出汁と玉子をしっかり混ぜて、甘く優しくまろやかに変身した出汁を 一気に飲み干すのだ。そんな風に、一杯のうどんと言えど、手抜きする事なく しっかりと考えながら食べ進んでいく僕の両隣では、信じられない出来事が 起こっていたのだった。

まずは右隣の若造。月見うどんが運ばれて来たと同時に、玉子をグチャグチャに 潰してしまい、麺を勢いよく混ぜ始めた。 「アカン!そんな事したら!折角の楽しみが台無しやないか!」 僕は叫びたい気持ちを押し殺した。若さ故、仕方がないのか。 いや、若いから許されるというものでもない。その後、若造はハイスピードで 麺を平らげ、急いで店を出て行ったのだった。彼が置いていった丼鉢には、 玉子と出汁が奇麗に混ざった黄金色の汁が丼鉢半分近くも残っていたのだった。 そもそも、月見うどんというものは、玉子が溶けた汁を最後まで飲み切るのが ルールじゃなかったのか。もったいない。流石は若造だ。何だか残念な気持ちになって、 左隣の年配サラリーマンの方を見る。彼の丼鉢には麺も出汁もほとんど残っていない。 それにも関わらず、まだ玉子を潰していない。玉子だけが丸まま丼鉢に残されているのだ。 これはもしかして、中学校の同級生M君がやっていた必殺技「最後に玉子」じゃないのか。 これは、まず麺と汁を素うどんのごとく最後まで食べてしまった後、潰さずに残しておいた 玉子を一気に丸呑みするという信じられない技だ。M君曰く、うどん汁によって 暖められた玉子の丸呑みは、何とも言えぬ位に甘くて美味いんだそうだ。 僕は自分のうどんを気にしながらも、隣の年配の動きを見守っていた。 年配は僕の方をチラッと見た。僕と年配の目が合ったその瞬間、彼はおもむろに 丼鉢を持ち上げ、目を見開き大きな口を開けたかと思うと、その玉子を一気に 丸呑みしたのだった。「出た!最後に玉子!!」年配はそれから暫くの間、 口をムニャムニャしていた。これは絶対に、口に残った玉子の残り香を楽しんでいるに 違いないのだ。ふと回りを見渡すと、あれほど賑やかだった「拾銭」には、 僕を含めてあと数人しか居なくなっていた。僕はいつもこんな事をしているから、 食べるのが人一倍遅いのかもしれない。

「ごちそうさまあ」店を出ると、真夜中の十三は寒さが一層増していた。 奇麗な夜空にはポッカリと月が覗いていた。満月の夜である。 しばらく空を眺めていた。すると、空全体が丼鉢に見えてきた。 そこには、美味しそうな月見うどんが浮かんでいた。 2011年は、うどんのように、太く長く熱く、生きていきたいものである。
(文:加藤鶴一)

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