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バンド募集

20th本

ウルトラ募集

In FANDANGO
『名優スティーブマックイーンの遺作「ハンター」のパンフレット』

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吠えろ!ファンダンゴ!!
#137 スティーブマックイーン



先日、堺東銀座商店街まで自転車で買い物に出かけた。堺東銀座商店街は大阪堺市の繁華街であり、 一昔前までは、堺市で一番賑やかな商店街であった。今では少し寂しくなってはしまったものの、 市役所はあるし、高島屋はあるし、商店街はあるし、映画館もライブハウスもある。いわゆる 堺の中心部である。簡単な食料品を手に入れた僕は、商店街の昔の面影を思い出しながら トボトボと歩いていた。自転車置き場まではもうすぐだ。Gパンのポケットに手を入れて、 自転車の鍵を取り出そうとするが、なかなか見つからない。確実に、このポケットに仕舞ったはずだ。 それなのに、どうしても見つからない。念のために、体に付いている全てのポケットも探してみた。 それなのに、どうしても見つからない。これは完全に紛失してしまっている。ちょっと落ち着こう と思ってタバコに火を着けてはみたものの、落ち着くどころか、あまりのショックに商店街の入り口が ボヤけて見えてきた。そういえば、前にもこういう経験をした事があった。

当時、僕らの仲間内では、アメリカの有名な映画俳優であるスティーブマックイーンが話題になっていた。 何しかカッコ良かったのである。派手なアクションも然ることながら、その体から自然に滲み出る人間性に 憧れていたのかもしれない。そんなマックイーンの映画が、僕らの町でも上映される事が決まった。 その映画自体、当時マックイーンが癌に冒されていて、彼の最後の映画になるかもしれないという噂で、 かなりの前評判になっていた。確か上映直前にマックイーンは亡くなってしまったと思うのだが、僕らは 友達7人で堺東銀座商店街まで、マックイーンの最新作である「ハンター」という映画を見に行く事を 約束していた。僕らが住んでた町から堺東銀座商店街まで、自転車で1時間位の距離である。当時、 僕らの欲しいもの全てが堺東に集まっていたので、僕らはよく「堺東行こや!」と言って、度ある毎に 堺東まで自転車で通っていた。お金の無かった中学生にとっては、自転車だけが武器だった。映画当日、 僕たち7人は意気揚々と自転車を走らせた。傾斜のきつい坂を何度も乗り越え、田んぼの真ん中を 横切って、工場地帯を抜ければ、ようやく国道に出る。その道中、僕は心の中でマックイーンに なりきっていた。ちょっとの段差を派手に飛び越えたり、ジャンパーのポケットに手を入れて手放し運転 してみたり、サドルに片足を乗せて走る曲芸まで披露した。国道に入ってしばらく走ると、すぐに 堺東の町並みが見えてきた。僕らはあらゆる誘惑に脇目も振らず、一目散に映画館に入った。映画は 一瞬で終わったような気がする。僕は終始ドキドキしていた。ストーリーははっきり思い出せないが、 次から次へと飛び出してくる息も付かせぬアクションに強烈なスリルを感じた事は覚えている。 この映画撮影中のマックイーンは自分が死ぬなんて少しも考えてなかったんじゃないだろうか。 そう感じさせるような迫力のある映画だった。映画が終わってからも、僕らは興奮していた。

この気持ちをどこにぶつければいいのか。僕らは映画館の隣のパン屋でパンを買い、とりあえず ゲームセンターでその気持ちをぶつける事にした。パンをかじりながら、ゲームに興じる。 このアメリカンな演出に、誰もがマックイーンに成りきっていた。そんな感じでワイワイガヤガヤ していると、隣から怒鳴り声が聞こえた。「誰にメンチ切っとんねん!」友達の一人が ヤンキー3人に囲まれていた。完全にからまれている。次の瞬間、僕らの中で一番力持ちのT君が 「何じゃ!お前ら!」と叫んだ。僕らは7人、ヤンキーは3人。こっちに勝ち目があると読んだみたいだ。 ヤンキーは「ここじゃ、あれやから、児童公園で話着けようや!」と言った。僕らはヤンキーと 睨み合いながら、児童公園までゆっくり歩いた。5分程歩いて、児童公園に到着すると、知らない間に ヤンキーの数が20人程に膨れ上がっていた。その状況に気付いた瞬間、僕らの心の中のマックイーンは 完全に消え去ってしまっていた。そこからはヤンキーのやりたい放題である。「飛び跳ねろ!金出せ!」 「お金は持ってません。」お金が無いと言う度に、どつかれる。しかし、本当にジャリ銭しか無いので、 それを熱弁していると、次は引っ張り回されて「ほんなら、そのジャンパーくれや!」 「それだけは勘弁して下さい。」また、どつかれる。「ほんなら、メガネくれ!」 「ほんなら、ズボンくれ!」「ほんなら、パンくれ!」と、彼等は無茶な要求を迫っては、どついてくる。 するといきなり、向いの駐車場からロマンスグレーのおじさんが出てきて「また、お前らか!止めんと、 警察呼ぶぞ!」とヤンキーを一喝して、僕らを逃がしてくれた。「ここにおったがな。マックイーンが。」 僕らはヤンキーを怒鳴り散らしているおじさんを尻目に、全速力で走って逃げた。何とか自転車置き場まで 逃げ切る事が出来た。

結局、何発か殴られたものの、実際の被害はジャムパン一つだけで済んだのは奇跡だった。 そんな事よりも、早くここから去らなければならない。次々と友達が自転車に飛び乗って、国道の方へと 走り出す。僕は一人焦りながら、Gパンのポケットに手を突っ込んで、自転車の鍵を探している。 しかし、探せど探せど見つからない。全く見つからない。友達は既に全員走り去ってしまった。 敵はそこまで迫ってきている。どうすればいいんだ。気を失いかけたその瞬間、商店街の入り口がボヤけて 見えてきた。ボヤけた商店街の先には、ジャムパンをかじりなが近づいてくるヤンキーが見える。 もう終わりだ。また捕まる。僕は自転車の陰に隠れてはみたものの、もともと自転車に陰なんかは 存在しなかった。やはり、すぐに見つかってしまった。「おう!久しぶりやなあ!」見上げると、 ヤンキーたちがニヤニヤと笑っている。「もうちょっと遊ぼうや!他の奴らはどこ行ってん!」 「先に行ったわ。」「お前は何してんねん!」「いやあ、ちょっと自転車の鍵があの。」 ヤンキーはゲラゲラ笑っている。次はどこに連れて行かれるのか。色々な悪夢が僕の頭の中を 駆け巡っていた。すると、ヤンキーは食べかけのジャムパンを僕に渡すと、ポケットから細い針金を 取り出して、僕の自転車の鍵をチョコチョコいじりだした。すると、すぐに自転車の鍵はカチャッという 音をたてて解錠したのだった。ヤンキーは僕から乱暴にジャムパンを取り返してから言った。 「堺東で何か困った事あったら、あのゲーセン来いや!その代わり、今度はそのジャンパー貰うで!」 僕は何と答えていいものか、分からなかったので、ただ「おう!」とだけ言って、大急ぎで自転車の ペダルを回し始めた。結局マックイーンになれなかった僕は、行きよりも遠く遠く感じる寂しい帰り道を、 一人情けなく自転車を走らせたのだった。
(文:加藤鶴一)

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