大阪のライブバー ファンダンゴ 音楽 ロック ギターのロゴ fandango pick-up live link english language link
cap gif. file link to Fandango schedule page cap gif. file link to Fandango information page cap gif. file link to Fandango links page link to fandnago GOODS page cap gif. file
cap gif. file link to Fandango pcik-up live page cap gif. file link to Fandango index page cap gif. file link to Fandango live report archives cap gif. file

バンド募集

20th本

ウルトラ募集

SEA SEA
『大阪府阪南市鳥取ノ荘あたりの防波堤にて』

※ファンダンゴでは、各日のチケットの電話予約・E-mail予約を
受け付けています。お気軽にお問合せ下さい


吠えろ!ファンダンゴ!!
#149 一人冬の海を眺めている。



午前9時、泉南の海は本当に奇麗だった。見渡す限りの水平線に飲み込まれそうになりながら、僕は防波堤に 立っている。目の前には3羽のウミネコが、まるで映像の1コマのように飛んでいる。飛んでいるという よりは、浮かんでいるという表現がいいのだろうか。このウミネコは人間に懐いているのだろうか、僕から 離れようとしない。たまに猫のようにニャーニャー鳴いては、僕にまとわりついてくる。これは餌を ねだってるに違いない。僕はさっきまで滞在していたラブホテルで頂戴してきたお菓子を、肩掛けカバンから 取り出して、細かく砕いては青く澄み切った空に向かって放り投げてみた。ウミネコはお菓子を喰わえる どころか、そんな僕の行動を白けた様子で眺めながら、優雅に浮かんでいる。お前達まで僕に冷たくする のか。僕は心の中でそう呟いてから、もう一度視界全体に広がる泉南の透き通った大海原を眺めてみた。 向かって左には和歌山の山々が、向かって右には遠く神戸の山々が、薄らと映っている。泉南と言えば、 大阪の南端で、すぐそこが和歌山県である。大阪の南の方の人間にとっては、和歌山まで遊びに行く時の 中継地点であったり、海水浴のメッカであったりと、何かと馴染みの深い土地である。そんな僕も昔車に 乗っていた頃には、よく来た場所であった。ただ今回は車ではなく徒歩で、あの頃よく来たこの懐かしい道を 歩いている。そして今回は遊びや観光でここへ来た訳ではなかった。

正月明け。誰もが家族や親戚付き合い、そしておせち料理や正月番組に飽き飽きして、友達や繁華街が 懐かしくなる頃である。そんな僕も例外ではなかった。あれは1月4日の事だった。難波の友人宅で新年会が あるというので、僕は朝から意気揚々と出かけた。友人宅では既に鍋の用意も出来ており、正午過ぎに ビールで乾杯して、僕らの宴はスタートした。鍋を突つきながら、まずは正月話に花を咲かす。いつのまにか ビールが焼酎に代わり、鍋の具材が無くなりかけた頃には、もうすっかり酔っぱらってしまっていた。 そして、その頃には話のネタも尽きてくるものである。そこからはいつものパターンで「今、難波で 飲んでんねんけど、来えへん?」と、今から来れそうな友人に電話をしまくる。一人集まり、二人集まりで、 その度に乾杯を繰り返しては、ゲラゲラ笑っている。そんな事を繰り返しているうちに、外が暗くなっている 事に気がついた。時計の針は18時を指している。かれこれ6時間飲んでいる計算になる。そろそろ 帰らなければならない。僕はこの後も地元堺での飲み会の予定が入っているのだ。よし、今から一旦家に 帰って、気持ちをリセットしてから地元の飲み会に行こう。そう決断した瞬間、酔っぱらいの一人が とんでもない事を言い出した。「今、心斎橋で面白そうな飲み会やってますよ!」すると、その場にいた 酔っぱらい達が一斉に「行こ!行こ!新年の挨拶や!」と言い出した。実際、そっちの飲み会にも僕の友人が たくさん集まっているみたいだったので、僕もちょっとだけ行く事にした。会場に着いて、皆と挨拶を 交わしながら、僕は「この後用事あるから、これ一杯飲んだら帰るわ!」などと言っていたのだが、 年が明けても人間というものは変わらないもので、気がつくと「そろそろ閉店しますので、帰って下さい!」 とのコールを受けていた。時計を見ると、23時。そこでようやく正気に戻った。僕は「この後、飲みに行き ましょうや!」という、悪魔の声を振り払って、終電を逃さない為に駅まで猛ダッシュをした。何故なら、 地元堺での大切な約束があったからだ。新年早々、約束を破る訳にはいかなかったのだ。そんな努力の甲斐も あって、何とか終電に間に合った。しかし、ここで油断したら終わりだ。昨年までの僕なら、ここでシートに 座って、案の定寝てしまって、乗り過ごして、エラい目に遭っていた。だが今年の僕はちょっと違う。僕は シートがガラガラなのにもかかわらず、つり革をしっかりと握って、堺の駅に到着するのを仁王立ちで待って いた。「たかが10分の辛抱」そう自分自身にしっかりと言い聞かせていたはずだった。

「アカン!!」そう思って、恐る恐る目を開けてみた。僕は優先座席で横になっている。車内にはポツポツと 人がいるだけだ。景色は黒一色だった。よく目を凝らして見ると、黒一色は辺り一面に広がる夜の海だった。 そこで車内アナウンスが鳴り響いた。「次は、みさき公演。次は、みさき公園。」イルカで有名な みさき公演は堺から50km位あって、和歌山のすぐ隣である。どれだけ裕福だったとしてもタクシーで帰れる 距離ではない。仕方なく、僕は朝が来るまで歩き続ける事にした。酔ってるうちは、どこまでも歩けそうな 気がした。昔、車でよく通った道。この道をまっすぐ歩いて行けば、家に帰れる事は知っている。僕は誰も いない闇の中を歩き続けた。たまに通る車のヘッドライトの明かりだけが僕を励ましてくれている感じが した。音はといえば、海から吹き付ける風の音と草木の揺れる音、そして車のタイヤが路面と擦れる音だけで ある。僕はまるで映画の主人公気取りで、一人漆黒の闇の中を黙々と歩いていた。どれだけ歩いたの だろうか。夜明けは近いのだろうか。かなり長時間歩き続けたはずだった。しかし、時計を見るとまだ 午前1時だった。何度も何度も時計を見たが、やっぱり午前1時だった。まだ1時間しか歩いていない。 電車の始発まで、あと4時間もある。この暗闇と寒さの中を4時間も歩けるはずがない。僕は急に焦って、 車を持ってる何人かの友人に電話をしてみたが、全く繋がらない。こうなると救いの手はヒッチハイクのみ だ。車が通るたびに、右手を大きく挙げて親指を立ててみる。しかし、誰も止まってはくれない。 もしかして、ヒッチハイクは左手だったのかも。そう思って、今度は左手を大きく挙げて親指を立ててみる。 やっぱり誰も止まってはくれない。日本人はいつからこんなに薄情になってしまったんだ。僕はヒッチハイク を諦めて歩く事にした。暗い。寒い。足が痛い。一本の長く続く家への道のりを三重苦に耐えながら、僕は ボロボロになって進んでいる。次の電柱まで歩こう。次の電柱まで歩こう。そう呟きながら歩いていると、 ようやく遥か先に明かりが見えてきた。近づいてみると、ラブホテルだった。どの角度から見ても、 ラブホテルだった。このまま野たれ死んでしまうか、一人でラブホテルに入るか、どちらかの選択肢しか 僕には残されていなかった。

「お客さん、お一人なんですか?」「一人なんですけど、泊めてもらえませんか。」「お一人は 困るんですが・・」「ちょっと調子が悪いので、何とか泊めてもらえませんでしょうか?」「うん、 仕方ないですね。じゃあ好きな部屋を選んで下さい。今回だけですよ。」午前2時30分、ようやく先が見えた 瞬間だった。僕は早速、石原裕次郎ばりの白いガウンに着替え、冷蔵庫から缶ビールを取り出し、大画面の テレビを見ながら、泡だらけ風呂に湯が張るのを待った。二人じゃなくても、楽しいラブホテル。僕は王様に なったつもりで、一人っきりのラブホテルを楽しんだ。翌朝、持って帰れるだけのアメニティグッズを 肩掛けカバンに詰めて、一人っきりのラブホテルを後にした。辺りは、昨晩の闇の世界とは打って変わって、 ギラギラと光輝いている。空を見上げれば、雲一つない青の向こうに、未だ沈む事の出来ぬ白い月が ポッカリと浮かんでいた。それを見ていると、急に昨晩の電車から見たオドロオドロシイ黒一色の海を 見たくなった。僕は家へと続く一本道を少し西に逸れて、海岸沿いの道を歩いて帰る事に決めた。 1月5日午前9時、街は正月休みから目を覚まして、急激に動き出している。 僕だけがポツンと世の中に取り残されて、一人冬の海を眺めていた。


*東日本大震災義援金に関して*
ファンダンゴ常設募金箱(1/12精算分) ¥ 16,500と
先月からの繰越金額 ¥ 59,540を
合計した金額 ¥ 76,040は、
『東北ライブハウス大作戦』内のIdol Punchの
RACCO氏率いる「RACCOS BURGER大船渡」に
全額寄付いたしました。

次回のチャリティーライブが3/12(月)に決定しました。
(sheduleのコーナー参照)
引き続きの御協力を宜しくお願いいたします!!


『NBC作戦本舗』
『南相馬の託児所「KID'S CLUB」』
『ONE WORD FOR ONE WORLD』
『東北ライブハウス大作戦』
(文:加藤鶴一)

1/8 live report 1/14 live report 1/16 live report 1/22 live report

スケジュール インフォ pick-up リンクス E-mail

Return to Top of page↑

Copyright(C) 1999-2050 Live-Bar Fandango. All rights reserved.
1-17-27 Juso-Honmachi
Yodogawa-ku
Osaka, Japan
call: 06-6308-1621
fax: 050-5531-8402
email: fandango@fandango-go.com