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バンド募集

20th本

ウルトラ募集

CARD CARD
『15年程前だっただろうか。友達の引越しを手伝った時、
その友達に泣きついてようやく手に入れた王選手のプロ野球カード。
ホームランカードではないが、大切な宝物の一つである。』

※ファンダンゴでは、各日のチケットの電話予約・E-mail予約を
受け付けています。お気軽にお問合せ下さい


吠えろ!ファンダンゴ!!
#155 a memory of summer vacation '75



気温35℃、雲一つない晴天の下、駅までの道をただひたすら歩いている。
既に体の至る所から汗が噴き出している。噴き出した汗を手ぬぐいで乱暴に拭ってみるが、 汗は止まる事を知らず、次の瞬間には額から流れた汗が頬を伝って顎の先から ポタポタと地面に落ちていく。あまりの暑さに耐えきれず、通りがかりの児童公園の 木陰で少し休む事にした。もう夏休みのはずなのに、児童公園には誰もいなかった。 滑り台にブランコ、鉄棒にジャングルジム、そして大きなグランド。その全てが世間から 忘れ去られたように、申し訳なさそうに存在している。
いったい夏休みの子供達は どこへ行ってしまったのだろうか。
昼下がりの児童公園にはただ蝉の鳴き声だけが 響いているだけだった。

オコゲと僕とは小学校に入学してからの友達だった。オコゲはあだ名であり、
本名はオカダコウスケと言う。出会った頃はオッカンと呼ばれていたが、
いつの間にか オコゲと呼ばれるようになっていた。
オコゲの親は共働きだったので、よく僕の家に ご飯を食べに来た。ご飯と言っても大概は焼きそばだったが、オコゲはうちの 焼きそばが大好きだったし、僕はオコゲが美味しそうに焼きそばを食べているのを 見ているだけで嬉しかった。僕もオコゲの家でご飯を食べさせてもらったり、 家に泊めてもらったりもする関係だった。
今から思えば、一番最初に出来た親友 だったのかも知れない。
そんな僕らが小学4年生になり、待ちに待った夏休みがやって来た。 オコゲと僕と数人の友達仲間は、夏休みに入ってからというもの、来る日も来る日も 朝から夕方まで、児童公園のグランドで草野球ばかりしていた。そして決まって日が 傾きかける頃、僕らは野球をやめて、近所の駄菓子屋へ走って行くのだった。
遊び疲れた僕らは、 駄菓子屋の前の木陰で、なけなしの小遣いで買ったチュウチュウアイスや駄菓子を食べながら、 またワイワイやるのだった。当時僕らの間で流行っていたのが、プロ野球スナックというお菓子で、 カルビーのポテトチップスの小袋にプロ野球カードが一枚付いているあれである。 仲間の中でも、特にオコゲはプロ野球カードを誰よりも持っていて、駄菓子屋の前の木陰に 集まった時にはいつも自分のカードの自慢をしていた。ホームランカードを持っていたのも オコゲだけだった。ホームランカードとは、プロ野球カードの当たりカードで、カードの裏面に ホームランマークが派手に印刷されていて、そのカードをカルビーの本社に送るとカードファイルが 貰えるのである。しかし、オコゲはそのホームランカードをカルビーの本社には送らずに、 いつも大事そうに持ち歩いていた。
ある日、僕はオコゲに聞いた事があった。
「なんで、ホームランカード送って、カードファイル貰えへんの?」
「俺、このカード気に入ってるねん!」
カードは、巨人の王選手が打席でフルスウィングしている瞬間で、キャッチャーは 阪神の田淵選手である。
「オコゲは阪神ファンやのに、何でそのカードがええのん?王選手は巨人やん。」
「ちゃうやんけ!この悔しそうにキャッチャーミットを構えてる田淵が好きなんや!」
当時巨人ファンだった僕は、オコゲが持っているその王選手のホームランカードが欲しくて 欲しくて仕方がなかった。僕は何度か、オコゲの好きそうな阪神の選手のカードを何枚か集めて 「このカード全部とホームランカードと交換してくれへんか?」と聞いたが、 その度にオコゲは「これだけは誰にもやらん!」と怒ったように答えるのだった。

夏休みも折り返し地点が近づいて、草野球にも飽きて来た頃、僕らは飽きもせず 駄菓子屋の前でワイワイやっていた。その時、突然オコゲがみんなに提案した。
「野球にも飽きたしよお。明日の朝、ハゲ山のテッペンに集合して、 俺らの秘密基地作れへんけ?」
僕らは全員一致で賛成した。僕だけじゃなかったかも知れないが、少なくとも僕は 何だか胸がワクワクして、その日は秘密基地の事で頭がいっぱいになっていた。
翌朝、ハゲ山には6人の仲間が集まった。まずは、場所探しである。
ハゲ山は、元々あった低い山の頂上近くの一帯を宅地用に削られた山で、 頂上近くの一帯を除けばまだまだ自然が残っていた。僕らは手分けして、ハゲ山の周囲を 回る事にした。しばらくして、フジピーの叫び声が聞こえた。
「みんな、ここにしようや!」駆けつけてみると、山の斜面の林の中に日の当たる 一画があり、そこにフジピーが立っていた。
「ここやったら、大人にも見つかれへんし、基地も作りやすいで!」
「よし!ここにしよっ!!」場所が決まり、僕らはすぐに動き出した。
オコゲと僕は、穴掘り。フジピー組は、枝集め。ヨウチャン組は、大きな石集め。 2日目の夕方に僕らの秘密基地は完成した。何とか子供6人が入れるような小さな基地だが、 僕らは嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
「明日、一人一つ以上、家からオモロいもん持って来ようや!」
次の日、僕らの基地には色んな 武器が集まった。バットにグローブ、人生ゲーム、プロ野球カード、漫画、野球盤、トランプ、 お菓子、ジュース、etc。たちまち基地は物でいっぱいになった。それからというもの、 僕らは一日のほとんどを基地で過ごすようになった。そこで、夏休みの宿題をしたりもした。 そして夕方の別れ際になると、暗号のように「この基地は6人だけの秘密やで!」と言って、 各自が家へ帰って行くのだった。

夏祭りの夜、祭りを抜け出して、オコゲと僕は秘密基地に行ってみた。夜の秘密基地を 見たかっただけの理由だった。懐中電灯一つのスリルを味わいながら、僕らは基地で 他愛のない話をしていた。基地の真上には半分欠けた月が浮かんでいる。 山の向こうからは盆踊りの音が聞こえている。オコゲは照れてゲラゲラ笑いながら、 同級生のミホちゃんの事が好きだと僕に打ち分けた。僕は何故だかドキッとして、 どう返事すれば分からなかったので、オコゲをからかった。
「ミホちゃんはお前の事、たぶん嫌いやで。だって、セコイやん。ホームランカード、俺にくれへんし!」
「何やと!お前もミホちゃんの事、好きなんちゃうんか!」
「アホか!あんなブス、嫌いじゃ!」
「誰がブスやねん!許さんぞ!」
「うるさいわ!明日、みんなに言いふらしたろか!」
次の瞬間、喧嘩が始まっていた。叩かれ、叩き、蹴られ、蹴り。最後は、投げ飛ばされた。 ゼイゼイ言って倒れている僕の横を、オコゲは何も言わずに走って行った。 夜の林の中を、まるで獣のように走って行った。

それから、何度も謝ろうと思ったが、なかなかそれも出来ずに、オコゲが来てくれるのを 待っていた。基地にもあまり近づかなくなった。そんなモヤモヤした気持ちのまま、夏休みが 終わろうとしていたある日、ヨッチャンが家に来て、オコゲから預かったという王選手の ホームランカードを僕に渡した。ヨッチャンに聞いてみた。
「これ、オコゲのやん。どうしたん?」
「オコゲに渡しとってくれって頼まれてん。」
僕はそれから何度かオコゲの家に行ったが、オコゲは居なかった。
夏休みが終わり、 2学期が始まった。教室に入ってもオコゲの姿はなかった。
先生が教室に入って来て、 大きな声で喋りだした。
「みんな!夏休みは楽しかったか!先にみんなに言っておかなアカン事がある。
オカダ君がお父さんの仕事の事情で急に引っ越しする事になったんや。
みんなに 挨拶したかったみたいやけど・・・」
僕は急に胸が熱くなり、誰かに何かを言いたかったが、何も言う事が出来ず、ただ 涙が滲んでくるのを感じていた。次の年、オコゲから年賀状が届いた。
住所は和歌山になっていた。何度か電話しようかとも、会いに行こうかとも思ったが、 あの秘密基地での事件以来、オコゲには会っていない。
でも、ホームランカードはまだ持っている。


*東日本大震災義援金に関して*
A)扇町para-diceさんから預かっていたチャリティーイベント
"ONE WORD FOR ONEWORLD"の売上金 ¥ 59,000。
B)ファンダンゴ常設募金箱(7/7精算分) ¥ 21,500。
A)+B)の合計金額 ¥ 80,500 を
「東北ライブハウス大作戦」に寄付させていただきました。
引き続き、宜しくお願いいたします!!

『NBC作戦本舗』
『南相馬の託児所「KID'S CLUB」』
『ONE WORD FOR ONE WORLD』
『東北ライブハウス大作戦』
(文:加藤鶴一)

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