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バンド募集

ウルトラ募集

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『何とか皆さんのおかげで、僕らファンダンゴは
この10月20日に25歳を迎える事が出来そうです。
今年いっぱいは25周年記念という事で
色々と 楽しい事をしますので、遊びに来て頂けたら
嬉しいです。まだまだ色々と書きたい事はありますが、
細かい事はまた次に会った時に。
それでは、近いう ちに十三で会いましょう!』

※ファンダンゴでは、各日のチケットの電話予約・E-mail予約を
受け付けています。お気軽にお問合せ下さい


吠えろ!ファンダンゴ!!
#157 祝!25周年!



まるで今にもマンションの窓から飛び込んで来そうな勢いで、真っ赤な夕日が 僕ら2人とジョンを照らしている。僕が20歳で彼女が19歳、そしてジョンは 2歳ぐらいだったのだろうか。僕らは1年くらい前から付き合いだして、 半年前の彼女の一言が発端で同棲を始めた。今から考えると、2人とも若かったと いう事で話は済んでしまうのだろうが、当時の2人は自分達だけのテリトリーを 求める事に必死だった。少なくとも僕は、まわりの事など一切見えず、 彼女の事しか見えてなかったんじゃないだろうか。

その半年前、冬の寒い時期だった。いつものように彼女の仕事終わりに待ち合わせて、 お金のない僕らは海沿いにある工業地帯の一角に車を停めて、車の中で缶コーヒーを 飲みながら喋っていた。
「なあ、私そろそろ家出たいんやけど、一緒に住めへん?」
彼女がその大きな瞳を潤ませながら、僕に聞いてきた。断る理由など全く見つからなかった僕は、 次の日から不動産屋を回り続け、安値で借りられる新しめのワンルームマンションを 見つけてきた。生まれた時から大家族での長屋暮らしに飽き飽きしていた彼女は、 狭いワンルームだったがその部屋を一目で気に入り、僕らはすぐに一緒に暮らす事に なった。引越は僕の車一台で運べる程の寂しい位の荷物しかなかったので、 楽勝だと思っていたが、荷物を全て積み終わった後に彼女が申し訳なさそうに言った。
「ジョンも連れて行っていい?」ジョンとは彼女が友達から貰ってきた雄の小型犬の事である。 僕もジョンが好きだったし、彼女のお母さんも連れて行って欲しそうだったので、 僕はジョンも連れて行く事に決めた。
そんな経緯で、僕と彼女とジョンとの生活が始まったのだった。

小さなテレビと卓袱台と炊飯器に冷蔵庫、そしてラジカセだけの殺風景な部屋だったが、 それなりに満足していた。6畳ちょっとのワンルームとは思えない程に広く感じたし、 これからこの殺風景な部屋をどんな感じで色を付けていくかという楽しみの方が大きかった。 休みの日になると、ジョンの散歩がてら2人で、大通りの向こうにある電気屋や雑貨屋に行って、 ワイワイ言いながら買い物をしたものである。お金こそ無かったが、生まれてから長い間住んでいた 窮屈な家を出た僕らは、この世のものとは思えない程の新天地を見つけた気分になって、 すっかり有頂天になっていた。それこそ朝から晩まで楽しかった訳である。

それから3ヶ月が経って、すっかり春がやって来た。桜も散り、青葉が町中を染める頃である。 3ヶ月も経つと色んな事が明確になってきて、なんやかんやと問題が起こってくる。 あんなに仲の良かった僕らも例外ではなかった。
洗濯物のたたみ方、掃除の仕方、テレビの音量、 米の炊き方、やれ帰るのが遅いとか早いとか、細かい事で言うと飯の食べ方一つを取っても 気になりだした。
「一緒に暮らすとそんなもんや。」と、友達は当たり前のように言っていたが、 僕自身窮屈で仕方なくなってきていた。まだ僕ら2人は言いたい事が言えるからいいものの、 最初に調子が悪くなったのが犬のジョンだった。どちらか1人が休みだったり、時間があればいいのだが、 彼女は朝から晩まで働いていたし、僕も色んなアルバイトを掛け持ちしたりしていて、 ジョンの散歩が置き去りになっていた。
丸くて大きな目をギョロギョさせて僕に戯れついていた、 あのポッチャリした可愛いジョンの面影は既にここにはなく。 ちょっと弱った感じで、目つきの悪くなってしまったジョンがそこに居た。
それを目の当たりにした僕ら2人は、とことん話し合った。 こんな事を何で改めて話さなアカンねんやろうと思いながらも、僕は朝まで彼女と討論した。 まずはジョンの散歩、そして今まで曖昧だった炊事や掃除やお金の事。
彼女は朝から晩まで働いていたので、結局ジョンの散歩に関しては、全面的に僕が面倒を見る事になった。 それからというもの、僕にとっては彼女と暮らしているというよりは、ジョンと暮らしているという感じの 方が強くなった。
いくら友達と遊んでいて盛り上がってる最中でも、 僕は「ちょっと、これが、あれなんで、帰るわ!」と言っては席を外すようになっていた。 友達は「お前ら、仲ええのお!」と、冷やかしてはくれるものの、ぼくが言うところの 「これが」はジョンの事であったし、「あれなんで」は散歩の事だったのだ。
若かった僕は、 どうもカッコ悪くて「犬の散歩があるから帰る」と、
ストレートに言えなかったのである。

暑かった夏が過ぎ、風が少し冷たくなってきた頃の夕方、すっかり元気になったジョンと僕は、 いつもの散歩道にある稲刈り後の田んぼで休憩していた。
辺りはキンモクセイの香りで包まれている。だんだんと傾いていく太陽を見ながら、ゆっくりと タバコを吹かしていると、ジョンが僕の足元にまとわりついてきた。僕はジョンに「そろそろ帰ろか!」と 言うと、ジョンは僕の目を見つめながら短い尻尾を思いっきり振って、帰りたいとアピールした。 僕らは、夕暮れ空が静かに僕らを見守る中、家までの道をゆっくり歩いて帰った。
家では彼女が待っていた。 「お帰り。」と言う彼女を見ると、いつもと様子が違っていた。彼女は泣いていた。 「どうしたん?」という僕が問いかけても、うつむいたまま首を横に振るだけで、何も言えない状態だった。 ようやく落ち着いて、彼女は泣き腫らした目で僕の事を見つめながら、ボソボソと言った。
「別れてくれへん。ごめん。」
「えっ!何て?」
「別れてくれへん。」
「どないしたんや!何があったんや!言うてみい!」
「実は好きな人が出来てん。ごめん。」
「そんなん聞いてないで!」
「あんたの事も嫌いやないから、言われへんかってんやん。ごめん。」
「そんなん話がおかしいやんか!」
彼女がまた泣き出した。マンションの西側の窓からは、今にも 飛び込んで来そうな真っ赤な夕日が、泣いている彼女と半泣きの僕と眠ってしまったジョンを照らしていた。 僕はどうしようもない気持ちになって、彼女のマンションを飛び出した。
そして、ヤミクモに歩いた。陽が沈んでも歩いた。一歩踏み出すごとに、涙がどんどんこぼれた。 涙がこんなにも出るものなのかと思った。
そこからは余り覚えていない。

彼女にふられてから1ヶ月が経っていたか経っていないかは忘れたが、失恋の傷がようやく塞がってきた頃、 行く宛のない僕は友達の家に転がり込んでいた。
昼間っからダラダラとたわいの無い話をしながら、 音楽雑誌をめくっていると
「大阪のディープスポット十三にライブハウスがオープン」という記事が目に入った。 あまりピンとこなかったので、僕は友達に聞いてみた。
「十三ってどこや?」
「梅田の向こうちゃうんか。」
友達は鼻くそをほじりながら 興味なさそうに答えた。
ちょうど25年前の出来事である。


(文:加藤鶴一)


*東日本大震災義援金に関して*
ファンダンゴ/村上率いる物資直送チームが、11/26,27の2日間を使って、
現地に向かう予定になっております。詳細は追って、来月のこのコーナーか
ファンダンゴ・スタッフ・ブログにてお知らせしますので、引き続き
「ファンダンゴ常設募金箱」へのご支援を宜しくお願いいたします!!


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