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バンド募集

ウルトラ募集


『都市開発や何やらで、だんだん味のある風景が消えていく。
僕が好きな電車の踏切もその中の一つだ。
便利になるのもいいけれど、 やっぱりどこか寂 しい。
雨があがった夕方、阪急電車神戸線十三の踏切にて。』

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受け付けています。お気軽にお問合せ下さい


吠えろ!ファンダンゴ!!
#165 どんな気持ちで



この道を通るのは何年ぶりなんだろうか?つい最近のような気もするが、遠い昔のような気もする。 小雨の中、昔住んでいたアパートから駅へと続く一本道を一人歩いている。辺りの景色はあまり 変わっていない気もするが、思い出を辿っていくごとに、記憶とはほど遠いことに気付いてくる。 駅までの途中にあった開かずの踏切で有名だったあの踏切も数年前に高架線路になってしまい、 今はもうその面影もすっかりなくなっている。あのアパートに越して来てすぐの頃だった。
雨の中、傘もささずに駅への一本道を急いでいた僕は、踏切の手前で異変に気付いた。 けたたましく鳴り響く救急車のサイレン、大声で交通整理をする警察官、
人だかり、夕暮れを 真っ赤に染めるパトランプ。その騒ぎは、電車への飛び込み
自殺が原因だった。 線路では、駅員や警察官達が事故の後始末をしていた。
降りしきる雨の中で、その光景を しばらく眺めていた僕は、急に何もする気が無くなって、無意識にアパートまでの道を 引き返したのだった。
アパートに帰った僕は、血生臭い雨で濡れてしまった服を洗濯機に入れて、 夜になるまでアパートの窓から降り止まない雨を見ていた。
久しぶりにここに来たのは 何の目的があった訳でもなく、ただ偶然近くまで来たので、ふらっと寄ってみただけである。
あの踏切事故から5年程、ここで暮らしていただろうか。
若くて一番多感な時期をここで暮らした事になる。

あれは5月も終わりの頃だった。何が原因かは分からないが、僕は何をする気力もなくなり、 一日中アパートで寝転んでいる生活を続けていた。アルバイトにも行かなくなり、人と会う事も 面倒くさくなり、何をする事もなく布団に横になっているのである。一日中、天井を見上げながら、 どうしたら寝転んだままでお金を稼げるのかを考えていた。そんなものに答などある訳も無く、 考えると考えるだけ眠くなり、そのまま眠ってしまうのである。
目を覚ませば、覚ましたで、 天井の木の節の数を何時間も数えていたり、布団の毛玉を何時間も取り続けたり、 それに飽きると、また楽をして金を稼ぐ方法を寝転んだまま必死に考えているのだった。
そんな事をしていると、いつの間にか体重も減り、挙げ句の果てには床ずれになってしまっていた。 これではダメだと思ってはみても、やっぱり何もする気にはなれず、僕は怠けていた。
ある暑い日、僕はなけなしの小銭を持って、踏切の手前のスーパーマーケットまで モヤシを買いに出た。踏切の手前までフラフラと歩いてきた時、誰かに呼び止められたのだった。
「おいっ!何してんねん!電話も出えへんから心配したやんけ!」
中学からの友達だった。 僕は何も言い返せずにモゴモゴしていると、
更に友達の後ろから声が飛んできた。
「久しぶり!元気にしてるん!」
何と、そこに立っていたのは、ずっと片思いだった女の子だった。
僕は急に心臓がドキドキして、頭が真っ白になってしまった。
彼女に何かを言おうとしたが、彼女の眩しい瞳を見ていると、
何も言う事が思い浮かばず、 僕は黙って笑っているだけだった。
その時、ただ踏切の警告音だけが、 カーン、カーン、カーンと、
辺りに鳴り響いていた。

あの衝撃的な再会から数日後、彼女から電話があった。
「仕事終わってから、遊びに行ってええ?」
あれ以来、すっかりやる気を取り戻した感のあった僕は「ええで!」と即答した。 部屋を掃除して、すっかり擦り切れてしまった布団を干して、
銭湯で垢を落として、 彼女がいつ来てもバッチリな準備をした。
夕方、彼女から電話があり、踏切で待ち合わす事になった。
待ち合わせの30分も前から、踏切の横にあるバス停のベンチに座って、
僕はオレンジに 染まっていく夕暮れを楽しみながら、
のんきに彼女が来るのを待っていた。 ガタンゴトンと音を立てて、
何本の電車が僕の前を通り過ぎたのだろうか。 踏切の音、車のクラクション、
人のざわめき、僕にはそんな事どうでもよかった。
ただ、こうして彼女が来るのを待っているだけで満たされていたのだ。
「ごめん!遅くなって。待った?」
「全然待ってへんで。」
僕と彼女は夕焼け色に染まりながら、 アパートまでの一本道をゆっくり歩いて帰った。彼女はその夜、大きなコロッケを たくさん作ってくれた。
「たくさん食べて、ちょっとは太りや!」
「うん、太る。」
僕は完全に彼女の虜になってしまっていた。夜10時になって、彼女が帰ると言い出したので、 僕は駅まで送って行くと言った。彼女は一人で帰れると言ったが、僕は以前に踏切であった 飛び込み自殺の話をした。
「ちょっと前に、あの踏切で自殺があってな。肉がその辺に散らばって、 えらい騒ぎやってんで。夜になると、その幽霊が出るっていう噂やで。」
「うわ〜、気持ち悪う〜、送って行って!」
まんまと成功したのは良かったが、彼女は本気でビビッていた。それから何回彼女と会ったのだろうか。 あの踏切が気持ち悪いというので、毎回駅まで送り迎えしたが、少しでも多く一緒に歩けるだけで 僕は嬉しかった。僕には彼女しか見えてなかった。ろくに仕事もしてないくせに、 調子に乗ってるだけの若造だったのだ。
実際、怖いものなんて何も無かったので、 あの時に告白しておけば良かったのだ。「ずっと好きでした。付き合って下さい。」
こんな簡単な言葉が何故言えなかったのだろうか。

6月も半ばを過ぎた頃、ジトジトした雨の日が数日続いた。雨のせいか、
何のせいかは分からないが、 彼女の事を想えば想うほど、男と女って何なのか、
生きるってどういう事なのか、 そんな事ばっかり考えるようになった。
そんな時、また全身の力が抜けてきた。
何も考えてないくせに、 考えるのが嫌になったのだ。
僕は再び何をする気力もなくなり、一日中寝転んで過ごすようになった。
電話にも出なくなり、外にも出かけず、ただ貝のように一日を過ごすのである。
彼女に会ってもうまく喋れる自信がなかった。何回か部屋をノックする音が聞こえた事もあったが、 一切応じる事もなく、貝になっていた。
ある雨の夜、電話が何回も鳴り、長い間部屋を 激しくノックされた。
それにも僕は応じる事が出来ずにいた。次の朝、部屋の扉を開けると、 ドアノブに大きなコロッケがたくさん入った紙袋がぶら下がっていた。
紙袋にはコロッケの 他にメモがあり、そこには「電話を下さい」と書かれていた。
それから僕が彼女に電話をする事はなかった。
彼女からの連絡もそれからはなかった。 結局、僕と彼女はそれっきりだった。

あのアパートから駅へと続く一本道を歩いていると、甘酸っぱい思い出が蘇る
反面、 何だかドロドロとした闇の中にいるような気持ちになってしまう。
そして必ず考える事は、 何度か一人で歩いたであろうこの道を、
彼女はどんな気持ちで歩いていたのだろうかという事だ。
彼女は一人どんな気持ちで、あの踏切を渡ったのだろうか。
どんな気持ちでコロッケの入った紙袋を 置いて帰ったのだろうか。
どんな気持ちで駅まで続くこの一本道を歩いて帰ったのだろうか。
あの雨の夜、どんな気持ちだったのだろうか。


(文:加藤鶴一)


*東日本大震災義援金に関して*
来たる6/17,6/18に、ファンダンゴ/村上率いる
物資直送チームが、前回残金( ¥ 77,498)と皆様から
預かったファンダンゴ常設募金箱 のお金を物資に代えて、
南相馬、石巻、気仙沼、大船渡へ向かいます。
この詳細に関しては、来月のこのコーナーにて
報告させていただきます。
募金をして頂いた方、物資を持って来て頂いた方、
色々と協力して頂いた方、本当にありがとうございます。
今後とも、宜しくお願いいたします!!


『NBC作戦本舗』
『南相馬の託児所「KID'S CLUB」』
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