大阪のライブバー ファンダンゴ 音楽 ロック ギターのロゴ fandango pick-up live link english language link
cap gif. file link to Fandango schedule page cap gif. file link to Fandango information page cap gif. file link to Fandango links page link to fandnago GOODS page cap gif. file
cap gif. file link to Fandango pcik-up live page cap gif. file link to Fandango index page cap gif. file link to Fandango live report archives cap gif. file

バンド募集

ウルトラ募集

sunset parasole
『夏が終わるなんて寂しいな。でも、そんなものは
カタチだけの事であって、 終わらない夏もあるんだぜ。』

※ファンダンゴでは、各日のチケットの電話予約・E-mail予約を
受け付けています。お気軽にお問合せ下さい


吠えろ!ファンダンゴ!!
#168 海辺のフェスティバル 2013夏の終わり



水平線の向こうに沈んでいく大きな太陽を見ていた。見事なオレンジ色に染まってしまった 僕たちは、夏の終わりを感じながら、すっかり誰もいなくなった海辺にたたずんで、 最後の打ち合わせをしている。女の子たちは砂浜に出て、キャッキャッ言いながら、 貝殻を拾っている。明日の野外フェスで売る予定の貝殻ネックレスの材料を探しているのだ。 この太陽が沈んでしまえば、もう明日を待つばかりである。 とうとう明日、僕たちが企画した"海辺のフェスティバル"が開催されるのだ。 僕は期待と不安でドキドキしていた。"海辺のフェスティバル"は、僕がこの夏の 思い出作りにと思い、簡単な気持ちで提案しただけだったのだが、 それがトントン拍子に進んでしまい、それが遂に明日実現されるのだった。 陽が落ちても、僕らは海を眺めていた。寄せては返す波の音と夕闇だけが、 僕らを包んでいる。
「あっという間やったなあ。」
「何が?」
「夕陽って、あっという間に沈むと思わへん?」
「それは言えてるなあ。でも、それは何でも一緒なんやで。だって、 俺らの明日のイベントにしても、あっという間やったやろ。俺らはまだ17歳やけど、 あっという間におっさんになって、あっという間に死んでしまうんちゃうやろか。」
「何言うてんねん!お前は17じゃなくて、もう47やんけ!」
「アホか。訳の分からん事言うなや。とりあえず、明日のイベントの成功を祈って、 この俺らの海で泳ごうぜ!」
僕らは泳いだ。月明かりの下、誰もいなくなった浜辺で、夜遅くまで泳いだ。

泳ぎ疲れた僕らは、明日のイベントの最後の準備をする為に、海辺のフェスティバル事務局に 帰る事にした。海辺のフェスティバル事務局とは、名前だけは偉そうだが、 浜辺にある海の家の事である。20畳程の座敷と10畳程の物置に小さな厨房があるだけの 一件立ての平屋である。厨房から、お母ちゃんの声が聞こえた。
「あんたら、お腹空いたやろ。豚汁食べてみて。」
明日開催される"海辺のフェスティバル"の飲食ブースは、僕の母親が一人で担当する事になっていた。 出し物は、豚汁のみである。お母ちゃんは、自分の体より大きな寸胴鍋の中身を、 自分の体より長い杓子で、汗をボタボタ落としながら、必死にかき混ぜている。 その傍らでは、僕の彼女がイベント物販用の貝殻ネックレスを作っている。 僕らは全員で豚汁を食べた。
「ムッチャ美味しいやん!」
僕らはその美味しい豚汁を、何杯も何杯もおかわりして、空腹を満たした。
「あれ?お父ちゃんは?」
お父ちゃんとは、僕の父親の事である。 僕は、このイベントに対して口うるさく文句を付けながらも、本当は 楽しみにしていただろう父親が、この場所に居ないのが不思議で、母親に尋ねてみた。
「あんた、忘れたんか。イタリア人のあんたのお父ちゃんは、
あんたが17の時に、消えてしまったやんか。」
「消えたって、どういう事なん?イタリア人って、どういう事なん?」
「あんた、忘れたんか。まだ47やのに、もうボケたんか。」
「いや、お母ちゃん、俺はまだ17やで。」
裸電球が8つぶら下がっているだけの薄暗い事務局の座敷で、僕は訳が分からなくなって、 走馬灯のように浮かんでは消えて行く過去の記憶を検証するのだが、 何も答えは見つからないでいた。そんな事より、明日のフェスティバルを 成功させなければならない。今の僕にとって大切な事はそれだけなのだ。

柱時計が午前零時を告げた。いよいよ、フェスティバル当日を迎えた事になる。
月は僕の真上で輝いている。明日の為に少しだけ眠ろう。
その前に機材等の最終チェックを しようと思った、その時だった。
物置の方から大きな声が聞こえた。
「明日の機材が全て消えてます!」
「どういう事や!探せえ!!」
次に、事務局の真ん前にある明日のステージの方から声がした。
「ステージが壊されてます!」
「何でやあ!!」
僕らは慌てて、みんなで手分けして、明日出演してくれる予定の出演者に連絡を 取ってみたのだが、誰一人にも連絡が繋がらない。そして、あれだけ奇麗な月が 出ていたはずの空から、大粒の雨が降り出し、風が吹き出した。 外は、あっという間に、嵐になった。目を開けて立ってられない程の風が吹き荒れ、 大粒の雨が雪崩のように押し寄せている。
「もう、アカン。明日のフェスティバルは中止や。俺らの夏も終わりや。
何もかも終わりや。」
僕がそう呟いた時、隣で豚汁をかき混ぜていたお母ちゃんが言った。
「あんたのやってる事なんか、所詮カタチの無いもんや。終わりも始まりもあるかいや。 人間のやってる事も人間自体も、みんなそうやんか。
あんなもん、カタチがあるようで、 ほんまは何も無いんや。とりあえず、お母ちゃんは 今夜消えてしまったもんを探しに行ってくるわ。」
「お母ちゃん、外は嵐やで!危ないがな!豚汁はどないするねん!」
「全て、何とかなるよ。お母ちゃんが本当の、何とかなる主義や。」
お母ちゃんは大嵐の中、事務局を出て行った。僕はこの危機に、何も出来ず、
悲観的になってうずくまっているだけだった。そんな時、耳元で天使のような声が 聞こえた。声の主は、さっきまで貝殻ネックレスを作っていた僕の彼女だった。
「大変やなあ。でも大丈夫やで。あんたのやってる事って、 最初からカタチのないもんやから、何とかなるって。だって、私とあんたも一緒やん。
カタチじゃないもん。そろそろ、気付いたら!私ら、もう47やで。」
「ええっ!47?俺はまだ17やで。ちょっと待てよ、そう言われてみると、
歳をとってきたような?とってきてないような?」
僕は何が何か分からなくなって、逆ギレっぽく彼女に言った。
「そしたら、お前も同級生やから、47のはずやろ!何でそんなに若いねん!」
「それは、日々の努力の賜物やんか。あんたも、もっと頑張りいや!
人生なんて、あっという間やで。」

そこで、僕は目を覚ました。心臓はバクバクして、頭はモヤモヤしている。
点けっぱなしだったテレビからはNHKニュースが流れている。
8月に入ってから一度もまとまった雨が降っていない大阪に、大雨が降るという。 僕はそんな事よりも、ついさっきまで見ていた夢を振り返る事で必死だった。
海辺のフェスティバルって何だったのだろうか?
僕の父親が何故イタリア人だったのだろうか?
カタチのないものとは?
人生なんて、さっきまで見ていた夢のように、 ただの幻想なのだろうか?
もしかしすると、僕は17歳の時から、 ずっと同じ夢を見続けているのかも知れないな。そんな考え事が、頭の中をグルグル回っている時、 テレビから軽快な歌が流れてきた。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」が始まったのだ。
僕は夢の事なんか、どうでもよくなって、「あまちゃん」の世界にドップリと
引き込まれていった。


(文:加藤鶴一)


*東日本大震災義援金に関して*
ファンダンゴ/村上率いる物資直送チームが、
8/24(土)石巻市雄勝町水浜仮設所に、
皆様から預かったファンダンゴ常設募金箱のお金を
物資に代えて、届けてきました。
詳細は、来月のこのコーナーでお知らせいたします。
引き続き「ファンダンゴ常設募金箱」への
ご支援を宜しくお願いいたします!!



『NBC作戦本舗』
『南相馬の託児所「KID'S CLUB」』
『ONE WORD FOR ONE WORLD』
『東北ライブハウス大作戦』

8/4 live report 8/9 live report 8/13 live report 8/23 live report

スケジュール インフォ pick-up リンクス E-mail

Return to Top of page↑

Copyright(C) 1999-2050 Live-Bar Fandango. All rights reserved.
1-17-27 Juso-Honmachi
Yodogawa-ku
Osaka, Japan
call: 06-6308-1621
fax: 06-6301-2511
email: fandango@fandango-go.com